【メディア掲載】中日新聞:2015年12月24日付朝刊

「12月を寄付月間に」
「日本で定着を」NPO、企業など推進委

「十二月を毎年、寄付月間に」。各地のNPO法人や民間企業などが、今年から始めた取り組みだ。二〇一一年の東日本大震災などで、寄付への関心は高まってきたものの、全国の総計は欧米諸国に比べるとはるかに少ない。月間を機に、日本の寄付の現状について考えた。

 「寄付が盛んになるようアクションを起こすしかない」。寄付月間は、さまざまなNPO法人や企業、大学などの関係者らが推進委員会を設立して展開する。今月七日、東京都内で開いた記念シンポジウムで、委員長を務める小宮山宏・三菱総合研究所理事長が、参加者たちに呼び掛けた。

 月間は、期間中に寄付を多く募ることが目的ではない。一年をしめくくる月に、多くの人に未来を良くするための寄付について考えてもらい、日本に寄付をする行為をもっと広く定着させることを狙う。

 委員会に加わる各地の団体は、寄付月間のスタートをアピールしている。シンポでは、その責任者らが次々と壇上に上がり、自分たちの活動を報告した。

 貧困などの問題を抱える子どもを支援する基金を運営する「あいちコミュニティ財団」(名古屋市東区)の木村真樹代表理事は、今月から来年三月まで「カンパイチャリティ」を展開する。愛知県内の居酒屋千八百店が協力し、客が生ビールを注文すると、一リットル当たり一円が「あいち・なごや子どもとつくる基金」に寄付される仕組みだ。木村代表は「寄付という行為のハードルを下げる狙い」と説明した。

 委員会設立は、参加団体の危機感の表れでもある。「寄付白書2015」(日本ファンドレイジング協会)の日米英三カ国の個人寄付総額の集計(図)によると、日本は米国の三十七分の一。英国も日本の二・五倍ほどだ。

 米国では、米マイクロソフト創業者で慈善団体代表のビル・ゲイツ氏や、世界最大の投資持ち株会社の筆頭株主として知られるウォーレン・バフェット氏らが、日本円にして数兆円規模で寄付していることも知られている。「富める者が貧しい者のために手を差し伸べる」という、キリスト教の考え方が広まっているため、寄付が集まりやすいという分析もある。

 日本では、二〇一一年六月に寄付をした人への税制上の優遇が拡大された。その影響や東日本大震災もあってか、変化の兆しも。NPO法人「フードバンク山梨」(山梨県南アルプス市)は、規格外などの理由で売れなくなった食品を、販売会社などから無償で譲り受け、生活が苦しい人たちに無料で配っている。

 家庭で余った食品を寄付してもらう「フードドライブ」のキャンペーンを今月一~七日に実施したところ、市民を中心に約三百七十六万円に相当する六千二百六十五キロが集まった。同時期に実施した昨年に比べ、一日当たりの量は一・八倍。「メディアの報道などで、フードバンクの活動が広く知られるようになった」と理由を推測する。

 全国には、困窮者支援に熱心なNPO法人などもあるが、活動資金に苦労するのはどこの団体も共通だ。あいちコミュニティ財団の木村代表は「現状を知る人が増えれば寄付が盛んになるので、周知活動が大事」と強調している。

(白井康彦)

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